広告研究『雑誌の小冊子広告』
このカテゴリーでは、当社に投函されていた実際に運用されている広告の例を挙げて、その効果やレイアウト、デザインなどを研究してみます。
※広告に掲載されている会社・店舗と当社との関係性や、サービス・商品の批評の意図はありません。広告物としての研究となります。
※写真のチラシの著作権は、配布した各社に帰属します。
小冊子になった雑誌形式の広告
210mm * 297mm A4 24P構成
こちらはある雑誌の昼間に挟まれていた、小冊子になった広告です。 雑誌のテーマが蒸留酒を取り上げていたので、その内容を継承したまま時計を宣伝すると言う企画になっています。
紙質も良く高級な雰囲気なので、少し読んで捨てるというよりは、ずっと保管されるような形式の広告です。 表紙は男性がスリーピースジャケット着こなし、葉巻を片手に蒸留酒を楽しんでいる姿が写し出されています。
カメラマンの技術により、時計に最も目が行くようなピントと構図になっているのが特徴的ですね。 下のタイトルは見きれるように白色の縁が付いていて、それが外の白い枠と一緒になっているのがスタイリッシュなデザインです。
実は、このような表紙の4端に白い枠が来ると言うレイアウトは難しいとされています。 本来館切りするときに、上下左右3ミリの誤差を考慮してデザインされることが一般的ですので、少しでもずれるとこの白い枠が目立ってしまいます。 高い技術の印刷所に依頼しているからこそ、このようなレイアウトが可能になっているようです。
何をPRしたいか明確になっている
とてもおしゃれなデザインになっていて、眺めているだけでもうっとりするような美しい写真ばかりです。 紙面のテーマになっている蒸留酒も所々に出てきて、その魅力についても小見出しで打ち出されています。
ただなぜこの冊子が宣伝かと決めつけることができるかと言えば、すべてのページに高級腕時計が掲載されていて、そのメーカー名や問い合わせ先などが掲載されているためです。
このような高級な時計をPRするときには、具体的な機能や性能よりも、雰囲気が大切になるということがわかります。
裏表紙には大手有名ブランドの腕時計が宣伝されています。 デザインやブランド価値を前面に出して販売する場合は、広告一面をイメージ画像で打ち出し、商品画像をその1部に載せます。
このような技法を取ったチラシは、直接的な広告には活用できませんが、商品のパンフレットを取り寄せた顧客等に対して副次的にPRするのに対しては効果があります。
捨てられない広告を作ると言うのは、長く時間をかけてブランドイメージを確立したい会社には大切な手法といえます。